よくある質問

SF-36、SF-8、SF-12に関するご質問

スタンダード版とアキュート版の違いは何ですか?

被験者に「過去1ヶ月」の健康状態振り返っていただくものが、スタンダード版の尺度です。アキュート版は、「過去1週間」を振り返っていただく尺度です(※アキュート版の問2はスコア計算に用いられませんので、この設問に限っては、研究目的に応じて振り返り期間を変更することが可能です)。

例えば、効果がすぐに現れるような治療の評価は、アキュート版の方が適しています。日本語版のアキュート版は末期腎不全患者において信頼性・妥当性が検証されています(日本腎臓学会誌,2008; 50(1):42-50.)。アキュート版は国民標準値が算出されておりませんので、結果を解釈する際に標準版の国民標準値を用いる場合は、参考程度にとどめることをお薦めします。

アキュート版では国民標準値が算出されないとのことですが、スコアリングプログラムはアキュート版でも使用できますか?

スコアリングプログラムは、0-100得点とNBS得点を算出します(SF-36v2、SF-12v2のみ)。0-100得点については、アキュート版とスタンダード版のスコアリングアルゴリズムは共通ですので、アキュート版にもスコアリングプログラムが使用可能です。NBS得点の方は、スタンダード版の値となります。アキュート版も結果が算出されますが、国民標準値が出されていないため、参考値となります。

子どもに使用できますか?

SF36-v2、SF-8は16歳以上の成人を対象にして作成されておりますので、お子さんに使用することを前提としていません。

尺度(調査票)を読めないような認知症や精神疾患の方に対して使用できますか?

自己記入式のSF36-v2、SF-8を使用するときは、対象者に尺度を読む能力があるかどうかを見極めなければなりません。
認知症や精神疾患で文章の理解力が低いと思われる方、また、視力障害のために文字が見えない方、日本語の読解力がない方は、尺度の使用方法に注意が必要です。

サマリースコアとは何ですか?

SF-36、SF-8、SF-12では、健康関連QOL(HRQOL)を「身体的な側面」と「精神的な側面」の2つの因子によって規定しており、これら2つの健康側面は、8つの下位尺度をもって表示されるという概念が構築されています。
サマリースコアとは、8つの下位尺度得点からさらに2つの因子にまとめ上げた得点のことです。詳細はSF-36、SF-8のマニュアルをお読みください。
なお、SF-36v2日本語版、SF-12v2日本語版は「役割/社会的側面」を加えた3因子のスコアリング法が開発されています(Suzukamo et al. 2011)。

NBSとは何ですか?

国民標準値に基づいたスコアリング(Norm-based Scoring)のことです。NBSの利点は、調査結果の解釈が容易な点、SF-36v1.2とSF-36v2の結果を直接比較することができる点にあります。

8つの下位尺度はどのように得点化されるのですか?

8つの下位尺度に含まれる項目の回答を加算して得点化します。ある尺度に含まれる項目は全て、その尺度が表す概念との関連がほぼ等しいので、重み付けなしに加算することができます。加算した得点は、解釈を容易にするために、0-100得点に変換されます。高得点ほどよりよい健康状態を示します。

0-100得点とNBSの違いは何ですか?

0-100得点とは、得点化した8つの下位尺度の解釈を容易にするために、100点を満点とした形に変換された得点です。NBS(国民標準値に基づいた得点)とは、0-100得点を国民標準値が50点、その標準偏差(SD)が10点となるように置き換えた得点を言います。

8つの下位尺度得点をあわせて、QOL総合得点を出すことはできますか?

総合得点を出すことは適切ではありません。8つの下位尺度は、身体的健康と精神的健康の2つの要約得点にまとめられると考えられており、それは、8つの側面は1次元ではなく、2次元の構造を持っていると言うことを意味しています。つまり、身体的健康と精神的健康は別の概念であるため、一つにまとめることは適切ではありません。

目的に合わせて、8つの下位尺度の一部のみを使用できますか?

下位尺度単独でも使用することができます。ただし、下位尺度得点を算出するためには、一つの下位尺度に含まれる項目を全て使用することが必要です。

目的に合わせて、SF-36、SF-8、SF-12に他の尺度や質問を追加し、ひとつの調査票として使用することはできますか?その際、どんなことに気をつけたらいいですか?

他の尺度と併用することは可能です。特異疾患的尺度と併用される場合は、包括的な尺度であるSF-36v2、SF-8、SF-12を最初の部分に置くことを推奨しています。最終的にはご使用になられる方のご判断でご使用ください。