SF-12® (SF-12® Health Survey)
SF-12®は、すでに日本でも広く使用されている健康関連QOL(HRQOL: Health Related Quality of Life)尺度、SF-36®、SF-8™と同様に、科学的で信頼性・妥当性を持つ尺度です。
SF-12は、SF-36から選択された12項目からなる短縮版です。SF-36では、8下位尺度とサマリースコアが算出可能ですが、SF-12は項目が少ないために当初(SF-12v1)はサマリースコアだけを算出するように構成されていました。現在使用可能なバージョンであるSF-12v2では、項目選択肢の改良などに伴い、サマリースコアだけでなく8下位尺度も算出できるようになりました。
SF-12はSF-36と同様に、ある疾患に限定した内容ではなく、健康についての万人に共通した概念のもとに構成されています。様々な疾患の患者さんや、病気にかかっていない健康な方のQOLを測定できます。疾病の異なる患者さんの間でQOLを比較したり、患者さんの健康状態を一般の人と比較したりすることも可能です。
SF-12v2にはスタンダード版(振り返り期間が過去1ヵ月)とアキュート版(振り返り期間が過去1週間)があります。
重要なお知らせ
2019年5月8日にSF-36v2、SF-8、SF-12v2日本語版の
2017年版国民標準値をリリースしました。それに伴いライセンス方法に変更がございます。
詳細をご確認ください。
<<2021年9月10日の登録申請分よりライセンス契約に含まれるマニュアルが「
電子書籍(電子版マニュアル)」に変更されました→
詳細>>
日本語版版権者
- QualityMetric Inc., Fukuhara S.
開発論文
- Ware J Jr, Kosinski M,Keller SD. A 12-Item Short-Form Health Survey: construction of scales and preliminary tests of reliability and validity. Medical Care 1996; 34(3): 220-33.
SF-12を使用するには
SF-12を使用して調査を行う場合は、使用登録申請が必要です。
使用登録には「質問票(PDFファイル)」、「Web版スコアリングシステム」、「日本語版マニュアル」が含まれます。
質問票: 専用サイトからPDFファイルをダウンロードし、契約数を印刷してご使用ください。
日本語版マニュアル: SF-12日本語版の説明と使用方法を解説した電子書籍です。2017年の日本人の国民標準値を掲載しています。スコアリングの概要が掲載されており、スコアリング方法は掲載されていません。
Web版スコアリングシステム: インターネット経由でWebブラウザ上で使用するシステムです。SF-12質問票を使って得られた得点を、標準化されたスコアリングアルゴリズムを用いて計算することができます。 こちらから詳細をご確認ください。
SF-12の特徴・構成
SF-12の特徴
包括的尺度である
健康関連QOL(HRQOL: Health Related Quality of Life)を測定する尺度は、大まかに包括的尺度と疾患特異的尺度に分類されますが、SF-12は前者に位置づけられます。
HRQOLという共通した概念で構成されているので、様々な疾患の健康関連QOLを測定することができ、疾病の異なる患者さん間のQOLの比較が可能です。また、病気にかかっている人から一般に健康といわれる人のHRQOLを連続的に測定できるので、患者さんの健康状態を一般の人と比較することができます。
項目数が少ない
質問の数が12項目と少ないので短時間で回答ができ、大規模な調査に向いています。
国民標準値との比較ができる
SF-12v2には国民標準値が設定されていますので、それを基準にして対象群の健康状態を検討することができます(ただし、スタンダード版のみ。アキュート版を使用する方は、スタンダード版の国民標準値を参考にデータを解釈してください)。SF-12v2の性別・年代別の国民標準値データは、SF-36v2™日本語版マニュアルに掲載されております。
SF-36v2、SF-8との比較ができる
SF-12は、SF-36、SF-8と同じ測定基準で得点されるように構成されています。したがって、SF-12、SF-8、SF-36、それぞれから得られた結果は他方と比較することができます。また、SF-12から得られた得点は、SF-8より広い範囲を測定することができるが、SF-36より狭い範囲しか測定できず、SF-36に比べて精度が低いことが欠点となります。
SF-12の構成
SF-12は、SF-36と同様に8つの健康概念を測定するための複数の質問項目から成り立っています。8つの概念とは、(1)身体機能 (2)日常役割機能(身体) (3)体の痛み (4)全体的健康感 (5)活力 (6)社会生活機能 (7)日常役割機能(精神) (8)心の健康 です。
SF-12の8つの下位尺度
下位尺度名
| 略号
| 得点の解釈
|
低い
| 高い
|
身体機能
Physical functioning |
PF |
入浴または着替えなどの活動を自力で行うことが,とてもむずかしい |
激しい活動を含むあらゆるタイプの活動を行うことが可能である |
日常役割機能(身体)
Role physical |
RP |
過去1ヵ月間に仕事やふだんの活動をした時に身体的な理由で問題があった |
過去1ヵ月間に仕事やふだんの活動をした時に,身体的な理由で問題がなかった |
体の痛み
Bodily pain |
BP |
過去1ヵ月間に非常に激しい体の痛みのためにいつもの仕事が非常にさまたげられた |
過去1ヵ月間に体の痛みはぜんぜんなく,体の痛みのためにいつもの仕事がさまたげられることはぜんぜんなかった |
全体的健康感
General health |
GH |
健康状態が良くなく,徐々に悪くなっていく |
健康状態は非常に良い |
活力
Vitality |
VT |
過去1ヵ月間,いつでも疲れを感じ,疲れはてていた |
過去1ヵ月間,いつでも活力にあふれていた |
社会生活機能
Social functioning |
SF |
過去1ヵ月間に家族,友人,近所の人,その他の仲間とのふだんのつきあいが,身体的あるいは心理的な理由で非常にさまたげられた |
過去1ヵ月間に家族,友人,近所の人,その他の仲間とのふだんのつきあいが,身体的あるいは心理的な理由でさまたげられることはぜんぜんなかった |
日常役割機能(精神)
Role emotional |
RE |
過去1ヵ月間,仕事やふだんの活動をした時に心理的な理由で問題があった |
過去1ヵ月間,仕事やふだんの活動をした時に心理的な理由で問題がなかった |
心の健康
Mental health |
MH |
過去1ヵ月間,いつも神経質でゆううつな気分であった |
過去1ヵ月間,おちついていて,楽しく,おだやかな気分であった |
※出典:福原俊一、鈴鴨よしみ SF-36v2®日本語版マニュアル:Qualitest株式会社、京都、2004, 2019
SF-12v2では、各項目の回答で選択したカテゴリごとに、SF-12v2の得点が割り振られます。
得られたデータは、SF-36v2と同様NBS(Norm-based scoring:国民標準値に基づいたスコアリング)によって得点化され、国民標準値と比較して点数を解釈することができます。また、8つの下位尺度をもとに、「身体的側面」、「精神的側面」、「役割/社会的側面」を表す3つのサマリースコアを算出することができます。